2013年4月20日土曜日

アメリカデジタル公共図書館

今週のニュースの一つには、木曜日の18日に「アメリカデジタル公共図書館」が正式に公開されたことがあった。過去二年半にわたる企画、制作の期間を経ての大きなプロジェクトが晴れて利用できるようになった。ハーバード大学に本拠地を置き、ニューヨーク公共図書館などいくつかの公共機関が中心になって共同で開発、運営されるものである。「デジタル」に特化した現在の公共図書館の延長であり、すでに公開されているデジタル資源を総合的に検索し、利用することがその基本である。いわゆるポータルサイトに加えて、テーマ、地図、時代などによって資料へのアクセスをサポートし、現在のアメリカにおけるデジタル公共資源の達成を示すものである。

公開されたサイトのオープンページには、使用例やニュース告知に並んで、四分の一のスペースを用いて「Apps」の紹介や、その利用への案内に当てたことにはデジタル環境の進化を感じた。デジタル資源を制作し、それを公開することに現在の図書館という組織が取り組むが、それに続くものとなれば、より広い社会的な協力を期待するものである。現時点では「Apps」と言えば、さまざまなデバイスからのアクセス、特定の環境やテーマへの応用などが考えられるが、利用形態の多様化や、かつてないものの出現こそデジタル環境の魅力であり、それがまさに現在進行形で日進月歩するものである。「Apps」開発への呼びかけと促進は、電子資源の利用においての新たなあり方をはっきりと示している。言い換えれば、電子資源の使われ方が不確定な故に不安を感じ、よってとりあえずは再利用不可という制限を掛けておくとの段階はすでに通り過ぎたもので、電子資源を盛んに利用してもらおうという機運が明らかに生まれてきたものである。

もともと、公開資料2百万点以上だと言われるが、「デジタル公共図書館」の内容の充実はまだまだこれからの課題である。試しに「nezumi」で調べてみれば、スペンサーコレクションで電子公開されている「鼠の草子」は検索結果に出てこなかった。電子資源の公開は、いまなお一種の「生き物」であり、それ自身がこれからもどんどん成長していくものだと、ささやかな実例から実感したのだった。

The Digital Public Library of America
英語日本語による紹介記事

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