2016年5月21日土曜日

黄表紙朗読動画

だいぶ前から始めている「音読」の試みは、しばらくはまったく続けていない。ここ数日、手元の仕事が一段落し、なにかデジタル関連の作品を作ってみようという気持ちが起こった。今度は、単なる音声ファイルに留まらず、画像も同時に活かそうということで、動画にまとめることを目指した。作業の対象にはじめて黄表紙の作品を取り上げた。

底本がデジタル化されて公開されていて、かつ翻刻も行われたものを、ということで、さほど多く考えずに『敵討義女英』を選んだ。この作品は、全部で三十帖、翻刻された活字は七千文字弱、原稿用紙に直せば約十八枚という計算になる。普通のスピードで朗読したら、ちょうど四十分程度に収めた。黄表紙の作品群の常として、画像と文字の比率はほぼ同分量であるため、画像にクローズアップして人物の様子や行動、活動の経過や結果を見せながら、とりわけくずし字によって記録された文章と音声との対応を明示することに重点を置いた。それにより、文字そのものの形もさることながら、絵の中に入り込んだレイアウト、地の文と会話との距離、そして人物同士の呼吸の合った掛け合いなど楽しい要素が多数あり、動画を無心に見て行けば、その不思議なリズムに魅せられるはずである。江戸のストーリを耳から理解する、くずし字をとにかく目で追って慣れていくという、楽しみにも勉強にも参考になれればと願っている。

デジタル画像は、国会図書館で公開されたものから、一番解像度の高い画像ファイルを用いた。ただその画像は、周りの空白をそのまま残されているなど、ほとんどまったく手入れされていない。見やすいように、色のトーンを変えたりして、最小限の調整を加えた。そして、動画の公開にはYouTube利用した。さまざまなデバイスで簡単にアクセスできる上、コメントは入力する方法も用意されているので、関心のある方はぜひそこからも意見を残してください。

黄表紙朗読動画『敵討義女英』

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