勤務校では、二年一度の個人業績報告を提出する時期になっている。あれこれとデータを確認したりしているうちに、二年前の新聞ならぬ旧聞にたどり着いた。リアルタイムに気づいていなかった。絵巻は、比喩的な使われ方に留まらず、いまだ古来そのままの用途を果たしていることに感動を覚えたぐらいだった。
オリジナル絵巻を清水寺が制作した。絵巻の全容は、すぐには分からない。展覧会の形で実物を公開していたとのことだが、あるいはいつか書籍の形にでもなるのだろうか。全容を知りたい。これを紹介するテレビ番組がスポットを与えたのには、戦乱の歴史をくぐり抜けた歴史や、近辺の人々の日常に溶け込む姿などに加えて、とりわけ鳥辺野や観音桜があった。人間の死を直視し、それを通しての生への思いや記憶を形にすることは、間違いなく清水寺の大きな側面だ。一方では、たとえば今日の暮らしの中で、清水寺の舞台が全国的に知られるのは、むしろあの「今年の漢字」披露の風景ではないだろうか。まさに日本的な風物詩の重要な一コマであり、はたしてこの平成絵巻に取り入れられているのだろうか。
さまざまな理由から、テレビ番組は、たとえ二年まえのものでもそのままの公開はしていない。ただ、文字起こしの形で読ませてくれていることは、なんともありがたい。対して、このような性格の絵巻は、それ自体の価値を増やすためにでも、秘して見せないのではなく、デジタルなどの形で広く公開すべきだろう。そのような動きがいまだ見られないのは、いささか残念と言わざるをえない。
絵巻がひもとく清水寺
2017年5月7日日曜日
平成縁起絵巻
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