膨大な数の古典美術品を所蔵することで有名なアイルランド・ダブリンにあるチェスタービーティ図書館は、また日本の絵巻にスポットライトを当てている。注目を集めたのは、「俵藤太絵巻」。新聞やオンライン記事などに加えて、地元の観光紹介サイトまでこれを取り上げ、それによれば、三年にわたる修復作業が晴れて完成し、その成果が現在展示されているとのことである。
同じ行事を紹介するビデオが一ヶ月半ほどまえから公開されている。それを眺めてみると、作品のタイトルや主人公の名前などはさすがに普通に認知されず、ただ三百年というキーワードが解説に繰り替えされている。さらに、絵巻修復のことが大きくクローズアップされた。今度は、どうやら日本からの専門家ではなく、オランダの職人の手に任されたのだった。その作業の様子などは、いくつかのきれいなカットで映し出されている。この道に詳しい方なら、きっと作業の風景から日本とヨーロッパとの違いをあれこれと指摘できるだろう。絵巻の外にあるビジュアル情報をめぐる解説を、またいつか有識者に啓蒙をしてもらいたい。
「俵(田原)藤太絵巻」には個人的に思い入れがある。かつてその中の一異本に翻刻と読み下しを加え、オンラインで公表している(「翻刻・読み下し」)。なお、これを現代語訳にした電子書籍も出版されていることをあわせて付記しておこう(『田原藤太奇談』)。
2018年8月25日土曜日
絵巻修復
Labels: 内と外・過去と現在
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