2008年3月8日土曜日

「音読・義経地獄破り」

インターネットを通じて、絵巻を愉しんでもらうということを目指して、これまでささやかな「音読」シリーズを作ってみた。数日前、その四作目を作成した。取り上げたのは、アイルダンドにあるチェスター・ビーティー・ライブラリー所蔵の絵本「義経地獄破り」、数々の義経伝説の中でも、奇想天外で、一風変わった作品である。

この音読シリーズは、原文の翻刻、原文と現代語訳という二つの内容の朗読に加え、テキストと音声ファイルのパソコンへの保存を簡単にできるという方針を取っている。その中で、今度の四作目は、これまでのと違い、現代語訳の底本をすでに出版されたものを用いることが出来た。三年ほどまえに勉誠出版から出版された絵本全文収録の同タイトルの書籍によるものであり、しかもその作者の一人で、現代語訳を施した宮腰直人さんが快く現代語訳の朗読を担当してくださった。「音読」シリーズにおける最初の合作サイトである。

日本古典の絵巻や絵本は、美しい絵と文字を目で楽しみ、そして文字に記された内容を読み上げてもらって耳で聞く、というマルチ的な形で享受されていた。画像や音声の記録のみならず、それらの伝播もインターネットという斬新な手段が得られた現在、手に入れた新しい技術によって、旧き良き楽しみ方を新たに体験することにより、絵巻絵本の魅力の再発見に繋げたい。

「音読・義経地獄破り」は、上下二冊、計13節、1万文字を超えた文字テキストを対象にし、原文では41分、現代語訳では26分の朗読となった。一節々々の音声をサイトに載せられた文字を目で追いながら聞くのもよし、あるいは音声のみをパソコンにダウンロードしてiPodでも使って散歩に持ち出してもよし、と、お暇な折にぜひお試しください。

音読・義経地獄破り

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