2010年5月16日日曜日

鎌倉の大イチョウ

学生たちの観光ツアーに加わり、土曜日は鎌倉を一日かけて歩き回った。若いものたちのエネルギーに盛り立てられて、食事も延ばし延ばしにして一日中とにかく歩き続けた。わたしが目指したのはなによりも鶴岡八幡宮。そこには夕暮れが差し掛かったころにようやくたど り着いた。

100515八幡宮の大イチョウが倒れたことをテレビで知った。すでに二ヶ月もまえのことにはなる。早朝5時まえの出来事で、しかもさほど風が強かったわけでもなかったと報じられたのだから、いわば樹木の寿命ということだろうか。千年も生き続ける木もあるが、あくまでもすべての環境が揃ってはじめて出来たものであり、どれもそこまでの幸運があるはずはない。ましてや大勢の人間に囲まれたものとなれば、こういう危険につねに直面してきたのではなかろうか。それにしても、根元から丸ごと倒れた巨樹の姿はあまりにも痛々しい。あらわになった根っこを目にして、なぜか言いようのない空しさに打たれた。ただ、わずか数日あとのテレビニュースには、樹身が切断されたが、りっぱに立ち上がった光景があった。突飛な形でおなじ場所に鎮座した。こんどはなぜか違う意味で励まされた思いがした。

大イチョウの前の広い広場には、薪火の用意が設けられ、まわりには着飾った巫女たちが忙しく動き回る。なにかの行事が予定されていたと見る。すでに新芽が吹き出した大イチョウの姿をカメラに収めて、学生たちとともに八幡宮を後にした。

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