先週の週末、バンクーバーに出かけて、JSAC年次大会に参加してきた。飛行機のウェブチェックインを使うこともあって、搭乗待ち時間が短縮され、感覚的にはすぐ隣の町に行ってくるようなもので、新学年早々のこの時期、むしろ息抜きする楽しいひと時だった。
この集まりは、例年なら文学関連の発表がさほど多くなかったが、今年は主催校の充実な大学院コースの理由もあって、古典文学関係の発表まであった。それも、平安物語や中世の和歌を取り上げて、ビジュアル資料まで交えて、なかなか示唆を示す複数の報告だった。もともと和歌を論じて、木版の底本を持ち出して、はたしてどれくらいの意味があるのか疑問を挟む余地もあるが、馴染まない文字で書かれたものを見せて、聞く人に視覚的なインパクトを与えて再考を促す一面はたしかにあった。あとは、新日本画や漫画などをテーマに取り上げたものもあって、こちらのほうはビジュアルそのものが対象となって、聞いてとても親しみを感じた。
わたしは、数日前トロントの学生たちを相手に話した内容を中心にささやかな発表をしてきた。席上に学生から受けた質問の一つには、このようなテーマを取り扱った研究がこれまであったかどうかというものだった。なぜか初々しくて、若いエネルギーが伝わって、はっとした思いだった。
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