週末にソウルを訪ねた。時差はなく、飛行時間は二時間も足らず、日本からはまさにすぐそばの隣国との印象を改めて感じた。それでも、いたるところに聞こえてくる外国語案内や看板は韓・英・日・中と続き、市庁前の広場には巨大な野外舞台が設置したと思ったらその日に撤去され、翌日にまた違うものが立てられるなど、日本ではちょっと思いつかない外国は、明らかにそこにあった。
街角を見渡すと、妙な紙灯篭が飾られていることに気付いた。聞くと韓国最大の祭りである「燃灯祝祭」が近づいてくるものだと教わった。あの釈迦誕生日のことである。日本で言えば「花祭り」。こちらのほうは、桜に因んだ命名は明治時代に入ってからの事であり、しかも思えば今年の4月8日には、ちょうど数人の研究者と一緒に山を歩く機会に恵まれ、廃れたお寺の講堂に置かれた花祭りの飾りが深く印象に残ったものだ。日にちのことが気になって調べてみたら、東南アジア諸国から僧侶が集まってカンボジアで行われる釈迦誕生行事は4月28日、国立行事として取り行われる台湾国立釈迦誕生日は5月13日、そこで韓国の燃灯祝祭は5月18日で、一番遅い日付となる。韓国人の友人によれば、しかしながらいまやこれは国の休日になっているとか。しかもその理由とは、クリスマスが休みの日だから、釈迦も遅れを取ってはいけないという、どこまで冗談が混じっているのやら図りきれない楽しいコメントだった。
ソウルでの集まりは、「韓国日本文学会」。日本文学の研究者が大勢集まり、近代専門の方が多いように見受けられたが、上代、中世、近世の方も数人集まった。そこでの報告は、いずれ雑誌に掲載される予定だと聞く。発表後の質疑応答、会議前後の招待者との真剣な会話など、知見に満ちて、発表者の自分が一番得るところ多くて、なんとも贅沢な旅行だった
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