2013年1月5日土曜日

狛蛇

新しい年を迎えた。今年の干支は、巳。十二支の中でもイメージすることにはちょっぴり苦労する部類に入る。その中で、期せずして「狛蛇」という言葉に出会った。

狛とは、さまざまな説が纏いつく動物である。そもそもコマという言葉への文字の当て方からして、ちょっとしたリストになる。同じく伝説の動物としては、犬という基本形があって、麒麟、鳳凰ほど奇想天外なものではない。いずれにしても、実在の狛犬を誰がどこで目撃したとか、どのように実生活の中で付き合っていたとかのようなアプローチは別として、ともかく石獅子と向かい合い、あるいはそれ自体が対となって神社などの前に居座って、魔よけの役を長年担ってきたことだけは、分かりきったことだ。ただ、長い歴史の中でこのような役目から興味深い変化が起こった。もともと犬の一種を規定するはずの「狛」が、いつの間にか石像となって魔よけに鎮座するという様式を指し示すようになった。そのため、犬ならぬ狛兎、狛猫、狛鼠、狛牛など大勢現われた。けっしてコマという種類の兎や猫ではなくて、ただ鎮座するそれぞれの石像なのだ。その中に交じって、狛蛇があった。言葉の移り変わりを物語るものとして、いかにも日本らしい。

20130106その中にあって、今年の年末からひと際目を惹いたのは、三室戸寺の狛蛇である。蛇体は見慣れたように渦巻いているが、上向きに伸び上がった首はなんと人間の頭、しかも過剰に微笑む老人なのである。いささかショッキングで、かなり異様だ。新聞記事などによれば、わずか半年前に新たに造られて同じ寺にお目見えになったとか。今年の干支にあわせていることには間違いない。ただし、伝来の木像があって、その姿をリアルに模っただけだと、寺は木像の写真を公式サイトで公開している。ならば、人頭蛇体の像は、狛と結びつけて秘蔵から境内に登場したことによって、言わばスケールアップされたに過ぎない。伝統を辿り、それを具体的な形をもってより多くの人々の目に触れさせることが大切だから、評価すべきだろう。

狛蛇

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