今年もクリスマスが過ぎた。この地に住み着いてもうだいぶ年月が経ったが、それでも毎年この時期になると、妙な気分を繰り返し味わう。というのは、周りの人々にとっては、クリスマスとはまさに年に一度の最大の休みであり、日本風にいえば「お正月」である。だが、そのような節目が過ぎて、ずいぶんと祝日ムードがおぼろげになったあと、ほんとうのお正月がようやくやってくる。言い換えれば周りの人々に較べて、一週間以上の間隔をあけてうきうきとお正月を二回も楽しめるという、なんとも言いようのない得な気分に捉われるものである。
クリスマスとなれば、やはりツリーを飾らなければならない。これを普段の人々の日常に取り入れていない国となれば、いまやそのツリーというものは一種の公な飾り物になったと感じてならない。とりわけ最近の電力消耗はさほど問題とならないライトが普及し、いつの間にかそれがとっくに一本のツリーを通り越して、建物、あるいは広場全体に広げてゆくという傾向にある。一方では、英語圏では、ツリーはやはりそれぞれの家の中にあってこそのものである。人の丈ぐらいのそれを設けて、その下には家族同士で交換するプレゼントをうず高く積んでおく。まさにクリスマスの風物詩だ。対して家の外の飾りつけとなれば、数で言えば意外と多くはない。近辺のことで言えば、屋根に飾り付けをしたのは半分にもならないといったところだろうか。もちろん中には熱心な家はかならず現われる。今年、近所の一軒はライトにあわせて音楽を鳴らす仕掛まで道端に取り付け、道行く人々の視線をけっこう集めた。
ちなみにクリスマスツリーの作法は、違う国から来ている人にその内容がかなり異なる。同僚と雑談したら、ツリーには本物の松の木を使わないと意味がないと教わった。我が家ではおなじ組み立て式のツリーを何年も繰り返し使い続けたと伝えたら、本気に驚いたと見る。ツリーをめぐる伝統、奥が深い。
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