先週のクラス、「保元物語」に語られた為義の最期を学生たちと英訳で読んだ。画像資料を触れてもらいたいとのことで、絵巻が伝わらないこのエピソードを、おそらく散逸する前の絵巻を構図に参照しただろうと思われるメトロポリタン美術館蔵の屏風絵を取りあげた。二回の講義に続き、学生にグループ発表をさせ、今時の若者らしく、このエピソードを表現した動画をインターネットにアクセスして上映させた。それまた実にこの上ないぴったりした動画だった。
現在も放送中の大河ドラマ「平清盛」からの一こまである。半年近くまえに放送されたものだが、為義、義朝を中心にダイジェストしたもので、かつ英語の字幕まで付いている。処刑する場面がドラマの山場となる。はるかに狭く作られた河原の空間、二グループの斬首を隣り合わせにした設定など、いかにもドラマらしい安易な対処だが、斬首の場面はやはり手に汗をにぎるものがあった。死体が転がり、さまざまな視線が交差し、そして音響や音楽に包まれて、短い時間、教室にいる全員は息を呑んでスクリーンを見つめた。文字を視覚にすることをあれこれと説明した直後だけに、そのような静的な情報を今度は動的なものに置き換えたことの、その感性への訴え力には、あらためて感じさせられるものがあった。
それにしても、いわゆる時代劇の常だが、長く伝えられてきたことを悉く逆転してみせるというのは、どうしてもその得意業のようだ。なにも古い語物が事実をそのまま伝えていたとは言わないが、それでも死んでゆく人々が一様に「斬れ」と叫ばせたところは、やはりどこか恣意的な作為が目立ちすぎて、こちらのほうが目を覆いたくなる思いだった。
「平清盛・叔父を斬る」(あらすじ)
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