2013年3月3日日曜日

絵に語らせようと思えば

今学期担当している作文クラスは、予定を半分越えて、ようやく佳境に入った。わずか数週間で作文表現の精度の進歩にはそれほど目覚しいものがあるわけではないが、それはともかく、学生一人ひとりが自分の書きたいことを伝えようとする気持ちがはっきりと現われ、中味が充実して、読んでいてじつに楽しい。ユニークな文章からは、普段クラスではけっして分からない若者たちの活動、苦労、思い出などがいきいきと伝わっている。その中では、とりわけ画像の使用において、同じ作文クラスが三回目になる今学期では、一つの面白い発見があった。

ブログに載せる文章として、写真は一枚まで使用可能というルールを最初から設けた。しかしながら、いつの間にか半分近い学生が数枚の写真を一枚に合成して文章に入れることを申し合わせたようにし始めた。いわゆる「観光はがきスタイル」である。最初にこれを見たとき、ほんとうに手元にある観光はがきをそのままコピーしてきたのかと思ったが、よく見てみれば、やはり苦労して作ったものだった。中には自分の姿が入ったユニークな写真を丁寧に斜めの枠に組み入れ、さらに個性的なキャラクターまで添えたものもあった。いうまでもなく伝えたいことが多くて、どれも割愛できないという考えから出発したものだろう。それにしても、このような対応からは、画像使用にかける書き手の思いが垣間見られたような気がしてならない。それは、はたして叙事にかけての饒舌なのか、絵を見て感じ取る読者の想像力を信用しないのか、はたまた今時の平均的な読み方に対応して、こまの多い漫画に影響されて、画像を多数綴らせないと安心できないという感性なのだろうか。

もともとこのブログも、ずっと写真を使うなら一枚までとの方針を取ってきた。それに際しての絵の選び方だが、絵としても楽しめる、文章で伝えきれないものを伝える、文字の表現を広げる、ということが理想だが、正直に言って、いまだまったく要領を得ないでいることだけは明らかだ。

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