2014年1月11日土曜日

異界RONIN

「47 RONIN」は、日本に遅れて地元の映画館にやってきた。クラスでは「忠臣蔵」のことにあわせてこれまで二回もこれを話題にしたから、見ておかなくてはということになった。平日を選び、それなりの期待をもって、映画館に入った。3Dバージョンで撮られているのだから、製作者の力の入れようを感じずにはいられなかった。

宣伝にもあったように、なぜか「セップク」には異様なほどの執着ぶりだった。普通の映画なら一回で十分な内容なのに、ここでは二回もじっくりと見せた。47人の最期となると、たしかに予告編にあったように全員一堂に集まり、介錯なしで短刀一本で命を終わらせた。それもまるで団体体操よろしくと、白装束を脱ぎ捨てるところを一斉にやりきることで視覚の美を表現した。なにからなにまで奇想天外で、短冊だけは生々しく用意され、そして主人公をこい恋慕する女性の手に握られるところで幕が落ちた。もともとそういう目で見ると、映画全体はどこまでもフェックション。庭園といえばサイズも橋の作りもまったく異界もの、刀がスポットライトを受けて奇跡として手に入ったとしても、裸の刀で鞘はなく、布でも纏いあ20140111げられたような格好となった。悪役の手助けに空を飛ぶ魔物の女性が加えられたが、せっかく道成寺があるのに、竜のイメージと変わってわずかなヒントも台無しになった。しかも悪の権化なる吉良を倒した最後の立ち回りでは、その命を断ち切った方法は、やはり腹に斬りつけたものだった。

しかしながら、この映画を見に行ったよとクラスで触れたら、先生が不思議だという雰囲気になって学生たちに笑われた。事実、映画館では、平日だとは言え、観客はわずか数人、それも全員友達連れではない男性だった。一つの映画として、どうしてここまで評判が悪くなることが可能なのか、それがミステリーになりそうだ。画面やストーリへのつっこみを入れたり、滑稽さを取り出して笑ったりするのも一つの楽しみ方だが、このように映画鑑賞をしたら、製作者にはやはり失礼なのかな。

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