2014年3月22日土曜日

護摩木

オンラインのイメージ検索、場合によっては辞書を調べるよりも便利で使いやすい。少なくとも言葉を対象にする教室では、そのようなことをかなり頻繁に実感している。先週もそのような一瞬があった。火渡り祭りの行事をレポートした学生に「護摩木」を説明するには、写真の集合を見せてあげるのは、一番てっとり早い方法だった。

護摩は大事な仏前の行事の一つなら、護摩木ということもきっと由緒正しいと睨んだ。ただ調べてみると、意外と古い用例は出てこない。護摩を焚くために、木材が主に使われたとしても、特化されなかった、ということだったのだろうか。語り物では、護摩は煙とセットになっている。中世の大事なイメージである煙の中でも、護摩こそ無常に至近距離にあったからに違いない。それからすぐに思い出されるのは、あの「平家物語」に出た衝撃的な祈願のエピソードだ。命をぶっつけて祈願するということを極限に拡大し、劇画的に語られたものだが、護摩の火を燃やすには木材に限らないものだと、実用的ではなくて、精神的な、想像的なレベルで虚構されたものだろう。

20140322一方では、護摩木にはこれといったあるべき形をしたのだろうか。もともと燃やして煙となるものだから、あるいは大切な要素ではなかったのだろうと想像していた。そこで検索で集合された写真を見て、熨斗が付いているのが多数あったことを発見した。護摩木はいまやすっかり商売のアイテムとなった。それ自体のサイズによって値段の違いを明らかにし、しかもりっぱな熨斗まで付けられ、贈与に用いられている。いかにも今風のものに成長したのだ。

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