2014年12月13日土曜日

歴史フィクション

今年の秋学期はあっとという間に終わった。例年のようにコースの終了に合わせて学生たちにレポートを書かせている。限られた枚数で一つのテーマについて調べ、まとめるという大抵の講義に用いられている要求には学生たちもずいぶんと慣れていて、しかも現実的にはいくつかのコースのために似たことを集中的に取り掛かっている。そのような一種のマンネリ化を避ける意味もあって、歴史課題についてフィクションものを書いても良いとの要求を出した。さらに形式にも努めて新味を取り入れるようにと付け加えた。

これはやはり正解だった。さすがに今ごろの学生、発想も表現も自由自在、普通のレポートよりはるかに時間を使ったことが目に見えて分かる。集まってきたものには、形式から言えば、読み切り小説、描きおろし或いは写真にデジタル加工を加えた漫画、歴史人物を主人公にしたビデオ、おまけにオリジナルパソコンゲームまで二つ現れた。内容を見れば、アマテラス、公暁から、明智の家人、韓国出征の兵士など、じつに奇想天外。一番の傑作は、なんと自作の絵巻。その内容はクラスで読んだ今昔物語の一話。今昔のテキストをそのまま詞書とし、それに合わせてとてもセンスの良い絵を加えた。詞書は手書き字体での印刷、絵はオリジナルもの。絵巻というものをたくさん見ていないはずなのに、よくもそのリズムや絵のアプローチのコツをつかんだものだとただただ感心した。

ここまでの完成度のあるものだから、教師一人やクラス内だけではやはりなんとももったいない。なにかの方法でこれを公表すべきだ。これからの作業リストの一項目に入れておこう。

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