2015年2月7日土曜日

年一回の面接官

面接という形で選ばれた若者たちと対話するという、とても貴重な機会は、自分にとってのささやかな年中行事となった。今年も、例年より二週間早めにその日程がやってきた。一日のみ務めることとなり、集中してきっちり10人の若者とスリリングな会話を交わし、とても有意義な時間を過ごした。同じ経験を四年前にもこのブログに書いたが、そっくりそのまま時間が再現されたとさえ言える。

面接に出てきた若者は、あきらかに最大の準備をして取り掛かってきた。その準備の方法となれば、知人友人親戚に話を聞いておいたものもあれば、関連の書籍を丁寧に読んできたのもある。あるいは今どきらしく、関連のサイトをたっぷりと読んできて、その中で感じた質問を素直にぶっつけてくる人さえいた。かなり限られた時間の中での会話なので、面接される人はやはり緊張する。なかには顔に出なくても、十本の指がすっかり充血した若者を見れいれば、逆に応援したくなるぐらいだった。一方では、緊張が解かれて、あまりにも気さくになった人もいたが、ちょっぴり度を過ぎたら、これまた見たくはない。面接の性格上、正答があるわけではない。それにしても、確実な言葉を選んで気持ちを正確に伝え、意味あるエピソードを簡潔に披露できる回答などを聞いていれば、やはり感心せざるをえなかった。

キャリアを積んでいくうえでは、いまの時代では試験を受けたり、ひいては与えたりすることはどうしても避けられない。日本でも生涯雇用が段々過去のものとなり、面接を特定の活動として、それへの対応をまるで技能の一つとして取り扱う向きがある。あまり行き過ぎず、一人の人間本来の様子をそのまま伝えるべきだと、アドバイスを求めてきた教え子にはつとめて言い聞かせている。

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