いつごろから、どういうきっかけで入ったのかよく覚えていないが、日本の古典をテーマとする研究者のメールグループに参加している。普段はきわめて静かなところだが、昨夜からは一挙に百を超えるメールが舞い込んだ。どうやらいま利用しているグーグルの関連サービス終了が噂され、フェースブックへの移動との提案が上がり、それへの熱心な反応だった。簡単に想像できるように、意見はまさにまちまちなのだ。単純な賛成、反対から、検索機能の利用、グループメールを送った場合の不在返信への不満、フェースブック以外の代替サービス、はたまた日常的にメールグループを運営している者からの提案にいたるまで、ほぼ想像できるタイプの答えが一遍に集った。普段は古典を対象にした研究者の集まりなのに、こうも多彩な人間が集まっているのだと改めて認識させられた。
メールグループをもっぱら利用してきたこういう集まりが、フェースブックに移動できるとは、そもそも考えられない。どちらもインターネットで繋がった情報交流のプラットフォームであり、その違いというのは、突き詰めていえば、あくまでも利用方法の仕方に過ぎない。さらにいえば、研究者の情報交流という目的に絞って考えてみても、メールという形が最適だとはとても思えない。ただ、長くやってきたのだから、この実績はなかなか変えられない。どうしてもプラットフォームの変更を実施してしまえば、結局はこれまで集まってきた人々の大多数が離れ、代わりに新しい人間が参加してくる、ということだろうか。利用者の習慣、それがもつ慣性と言えばそれまでのことだが、けっして軽く見ることができない。いまのインターネットの展開も、そのような慣性への対応を、あまり強調してはいないが、現実的にこなせなければならない。具体的に、目の前の実例にしても、これまでの枠組みに添ったやり方を、大きなサービスなり、個人のサーバーなりを利用することで決着することだろう。いまの技術からすれば、けっして難しいことではなかろう。
ちなみに、このグループで個人的にはしかし発言したことはほとんどない。数名の知人をはじめ、発言者の顔を想像しながら、その熱心な議論を読んできている。これも一つの参加であり、しかも同じ方針を取っているのはきっと少なくないと、想像している。
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