周りは夏休みまっただ中。その中で、大学では使用しているオフィスの中のものをすべて一時移し出すというかつてない作業をさせられ、かなりの労力と時間を費やした。それも一段落したところ、ずっと気にかかっていたデジタル・リソースの更新を集中的に取り掛かった。公開されている作品名まで添えて、さらにすこし違う読まれ方ができるのではないかと期待している。
あらためて見てみれば、このリストを作ったのは、すでに六年も前だった。デジタルリソースそのものは、まさに生きもののように世の中で増殖している。対象を絵巻や奈良絵本に限定して見ても、新しく増えたり、読者に惜しまれながら消え去っていったりするものは、じつに多くあった。それらの一つひとつには、どれだけの関係者の努力や、外部には知られていない苦労や葛藤があったのか、想像に難くない。あくまでも利用者の立場からの観察からすれば、苦言あるいは提言について、つぎの二点どうしても記しておきたい。一つは、リソースのリンクアドレスレベルの調整はあまりにも多いことだ。おそらくサーバーの更新や整備などに伴う結果だろうが、ひいては々図書館の中での互いのリンクがすでにつながらないようなケースも複数見られた。このリソースリストの作業としては、一旦作られたものはきっとどこかにあるものだと狙いを付けて取り掛かり、キーワードを用いて機関内ではなくインターネット全体を対象にしてサーチする方法でなんとか対応できた。もう一つは、いくつかの機関において、文庫など特殊蔵書ごとにデジタル化し、公開を行っている。おそらく予算の取り方など機関内部の理由があるだろうが、外部一般に公開する場合、きわめて伝えづらい。
六年以上も年月が経ったが、新しく増えたリ機関数はけっして多くない。一方では、一番大きな変化と言えば、デジタル化された絵巻や奈良絵本は、公開機関のカタログに溶け込み、その一部になったことだ。そのような資料は、けっきょく図書検索の要領で対応するほかはない。そのため、リソースリストの内容としては例示に留まることしか出来ず、致し方がない。だが、絵巻などを対象にこれをデジタル資料にして公開するということは、多くの機関において、資料利用方法の模索と、蔵書内容の宣伝という側面を最初からもっていた。そこから考えれば、デジタル化する方法を確立し、絵を持たない古写本まで対象を広め、さらにそれを全体の蔵書の中に戻すということは、まさにデジタル環境の進化を端的に物語っていると言えよう。
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