職場にはささやかな伝統がある。新学年の始まりにあわせ、同僚たちが集まってそれぞれの研究上の関心事を語りあうというものである。名付けてWiP(Work in Progress)。今年のそれは金曜日の午後に開かれ、一時間半の間に14名の発表が行われ、それぞれスライド一枚のみ用意して、3分のプレゼンと2分の質疑応答という形である。発表者には大学院生もいて、専門分野は近世ヨーロッパ文学や言語学関連が多かった。
すこしでも共通した関心を誘い、かつ説明しやすいように、「仮名百語」を持ち出して、デジタルアプローチについての考えを述べてみた。質問には興味深いものがあった。「実際の授業に使えるか」、「変体仮名はいつごろ使われたのか」、「どこまで字形のスタンダードが存在するのか」など、基礎的な背景知識に関わるものがほとんどだった。ただ、その中で、若い大学院生からの質問はいささか意外だった。いわく、「アプリは無料なら、ソースコードは公開しているのだろうか。」プログラミングのことを意識しているらしく、人文系の学生にとっても、デジタル技術の利用や再生産はかなり意識され、身近なものになったのだと気付かされた。
行事のはじめに、部署統合であらたに出来上がったスクールの長は挨拶し、3分間発表の大切さを力説した。院生や若い同僚たちを念頭にしたものだろうけど、自己紹介のために短いバージョンの説明を用意しておくことは、研究のキャリアのために必須なのだと伝授する。実用的で積極的な自己アピール、どこか朗らかでいて楽天的な、いかにも西洋的な心構えだった。
2017年9月23日土曜日
WiP 2017
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