日本語作文クラスの出来事である。日本語はいまだけっして自由な境地に至っていない、語彙も限定されている学生たちだが、漫画やアニメの話になると、俄然自信のある態度を見せ、「六道骸」やら「雲雀恭弥」やらの名前を並べて、「ろくどう・むくろ」などはっきりした口調で教えてくれた。まったく予備知識を持たない教師のこちらは、あっさりお手上げ状態だった。
かつてはいわゆるキラキラネームのことが盛んに議論された。新聞記事などで紹介された「今鹿=なうしか」、「首相=キャプテン」などの例は強烈的だった。一度は小学校に足を踏み入れて子供たちの名前のリストを見たら、「陽起=ひお」、「紫記=しき」、「海闘=ゆう」など、内心ほとんど絶句だった。どうやらこれだけではまだまだ人名についての可能性が尽きたにはほど遠い。漫画やアニメのような最初から仮想を前提とする世界になると、名前の付け方は一層活発的で、奇想天外なものになってしまう。日本のことに関心を持ち始めたずいぶん昔のころ、中国人の二文字か三文字の名前に比べて、三文字か四文字の日本人の名前のほうは、バライティーがあって誤解が少ないのだと思っていたものだ。どうやら物事は誤解などのレベルでは終わらない。人名というものは、時代の文化や価値観を映し出し、想像や創造による独特的な世界とも緊密な関係を持っていることも見逃してはならない。
学生たちの作文は今週で五週目に入る。今年も個人的な体験などに基づく精力的な作文が並んでいる。遠くカナダにいて、日本にこの上ない関心を持つ若者たちのあり方の一端を探るという意味でも非常に読み応えがある。暇な折にはぜひ覗いてください。
日本語作文ボード
2018年2月10日土曜日
キラキラネーム
Labels: 内と外・過去と現在
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