2018年10月27日土曜日

ネット授業記

ヨーク大学の先生に招かれ、インターネットを用いて高学年の日本語クラスで一席の講義をした。選んだタイトルは、「動物たちの合戦ーー絵巻から漫画へ」。「十二類合戦絵詞」を取り出し、絵巻に描かれた動物たちの物語を紹介した。絵を見せ、文章をゆっくり説明しながら、二、三の要点を語る、このスタイルは夏の客員講義で実践し、今度も手応えを感じた。

講義の使用言語は日本語だった。日本での教室と違い、言葉選びなど、やはり気を使わざるをえない。より簡単な言葉に置き換え、ときにはキーワードを英語で繰り返すことまで試みた。しかしながらどうやらかなりのところまで伝わったらしい。質疑応答の時間になると、しっかりした質問はいくつも戻ってきた。記憶に残ったものだけを取り出してみても、「絵巻そのものに変化や進化があったのか」、「絵巻はなにかを教えようとしたのか」、「在来の(名作)作品との関連性は」、などなどがあった。絵巻の進化ということは、さすがに真正面から聞かれたことはなく、表現形態には根本的な変化はなかったと答えた。はたしてそうは言い切れるものかどうか、いまも自問自答をしているぐらいだ。

利用したシステムはZOOM。講義が終わったら、ホストの先生は録画をさっそく送付してくれた。画質も音声も申し分なく、設定の方法も対応の選択も豊富で安心して使えた。デジタル環境の進歩にはあらためて感心を覚えた。

追記:先週書いた「イド」をめぐり、熱心な学生と議論し、一つの表記の方法を提案された。曰く「Edo [eh-do]」。今週の講義のテーマの一つには「応仁」があった。「オンイン」と発音されないように、講義スライドにさっそく「Onin [oh-nin]」と出した。

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