バンクーバーで開催される冬オリンピックは、日に日に近づいてきた。その中で、生活するこの町の名前も日本のマスコミに連日登場するようになり、日本のトップアスリートたちが最後の訓練地を目指してここに集まってくる。実際のところ、その場所とは、勤務する大学に所属するリンクであり、普段は本大学の学生だけではなく、普通の市民にも開放されて、日常生活の一部として親しまれているところだ。
数日まえ、そのリンクの上で聖火トーチリレーのセレモニーがあった。30分ちょっとの行事には、6000を超える人々が集まったと新聞などが報じている。早朝に行われたもので、学生や同僚たちとともに参加し、心より応援を送った。リンクはいっぱいのライトに照らされて、普段とは一味違う晴れ晴れしい姿を見せてくれている。観客席には観衆が溢れ、旗を手にした人々がリンクのすぐ側まで詰め寄った。歓声と拍手の中、聖火トーチは四回ほどリンクを走りまわった。それを手にしたのは、これまで二回も受賞に輝いたオリンピックのメダリストであり、そしてこれからカナダチームの選手代表である。因みに、その選手代表の名前は「ヨシダ」だとプログラムで見て分かった。若くて輝くような笑顔はとても印象的だった。
リンクの側に立って、カメラを構えて連続撮影を試みた 。カメラって、やはり不思議。シャッターを押し続けて、出来上がった写真を見て、目に入っていたはずだが、記憶にはまったくないものが残される。たとえば右の一枚。トーチには火が見えず、スケーターは視線は足に落とし、全身の筋肉は不自然な姿勢を保てる以外、どこにも力が入っていない。ここまで鮮明に撮れていて、まったく気づいたことのなかった瞬間が、ここにはあった。
動画もいいが、静止画は時にはもっと味わいがあって、しみじみと繰り返して眺める。そして、絵の構図、その虚構と真実まで思いを巡らせてくれてやまないと気づかされる。
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