2012年8月26日日曜日

この利用規定はすごい

大学の付属図書館などが作成し、運営するデジタル資料のデータベースは、いまやかなりの数に上る。それらをあれこれとクリックして見ているうちに、早稲田大学の「古典籍総合データベース」の利用説明が目を惹いた。正直、予想もしなかったもので、ここまで表現するようになったのだと、嬉しい驚きを覚えた。

利用規定の前半は、出版などの無断使用の不可を述べる。ただ、それに続いて、後半では「以下の用途に限り、特に申請は不要です。自由にご利用ください」と、つぎの三つの細目を掲げた。
1)学校の授業等で一時的に利用する場合。
2)研究資料として個人的に手元に保存する場合。
3)学術目的のホームページへのリンク。
デジタルファイルを教室に持ち込むこと、個人のハードディスクに落とすこと、あまりにも頻繁に起こっている使用方法をここまで明確に「自由に」と明記することには、まさに頭を下げるものだ。しかもこのデータベースを利用したことのある人ならすぐに気づくものだが、どの資料も単独の画像に加えて、その同じ高精度の画像を一点の資料ごとにPDFファイルに作成しておいて、クリック一つで纏めて保存するということを提供している。したがってここに述べられている規定は、ただの使用許可の説明ではなく、デジタルデータを作成するにあたっての基本理念の一つを具体的に開示したものなのだ。因みにこれに対して、三番目の「リンク自由」という規定は、いまやスタンダードなサイトの使い方で、いささか拍子抜けものだった。あるいはいまでも図書館業務においてそのような問い合わせを多数受けているということだろうか。

デジタル公開には、いまでも「すべての二次利用は禁じる」といった規定が常套文句になっている。それを見る度に、制作したデータをどう使われているのか、さらに言えばどう使われたいのかということを検証もしないで、とにかく一番無難なものを打ち出しているのではなかろうかと常に感じる。作成や公開にかけた苦労を思えば、なおさらだ。

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