「トーハク」で開催中の特別展は、かなりの評判だ。必ず行っておくべきだと数人の知人から教わり、金曜日にはさっそく訪ねた。考えてみれば、ふだんなら神様、信仰という言葉に落ち着くところを、あえて「大神社」と打ち出したものだから、やはりインパクトを感じる。平日の、それも朝早く入館したせいか、予想したほどの人出がなくて、ゆっくりと見て回ることができた。
展示のスケールは、さすがに大きい。このテーマにはすぐ連想される装束、鏡や神輿などはいうまでもない。個人的に関心をもつ絵巻や絵図、古記録もかなりの点数が出品され、丁寧な説明が用意されたこともあって、自然と見学者の群れが出来てしまう。一方では、神像がすごい数に及んで集まったことは、まさに圧巻だった。展示ホールの一つには、ガラスの展示ケース、それも典型的に西洋の彫刻や東洋の陶磁器を展示するものがずらりと並び、その中に神像を一点ずつ据えた。普通なら門外不出どころか、神社の中でもたいていは秘して姿を見せないものがこんな形で一覧できることは、まさに壮観そのものだった。それと同時に、このような新鮮で大胆な展示レイアウトによって、神像はなぜかミニチュアに見えてならなかった。展示説明を読めば、九世紀前後から、奥行きのない脚の造形が神像の基準様式になったと、まったく持っていなかった知識に出会った。神様には足が必要がないのだと、なぜか妙に感心した。ただ、二週間前に改めて見てきた国宝鎌倉大仏もたしかに足を持たない姿だった。このような美術史の常識を、もうすこし習いたいものである。
「国宝大神社展」は明日までだ。見逃したら、あとは分厚いカタログを眺めるほかはなかろう。それにしても、電子書籍が流行る昨今、豪華版の展覧会のカタログが一日も早く電子バージョンと並存することを待ち望みたい。
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