2013年8月24日土曜日

サイトアドレス

オンラインで公開されている古典資料は、日増しに増えている。一部の分野では、デジタルしか利用できるものがないぐらいのレベルに達している。伝統的な研究にデジタルを持ち込もうとすれば、さまざまな課題に直面せざるをえない。たとえば、一編の論文の中でサイトアドレスをどう表記すればよいのだろうか。縦書き文章の中の英数字云々ではなく、まずは、暗号みたいなアドレスで読んでいても意味が通じず、読者がそれをパソコンに入力できるとはとても思えない。

具体的な一例に沿って考えてみよう。早稲田大学図書館では、「後三年合戦絵詞」の模写を三点所蔵し、デジタル公開をしている。三点はそれぞれ題名にわずかな違いを持ち、中の一点、「後三年絵巻」のサイトアドレスは、つぎの通りである。
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/ri05/ri05_01981/
特殊な記号を含まず、意味がなくても再現しやすいほうのものである。そこで、紙媒体のための論文引用に、つぎのようなスタイルを試した。

・ 早稲田大学図書館蔵「後三年絵巻」(「早稲田大学古典籍総合データベース」)

簡単な説明を添えたが、要するに普通の検索エンジンに「早稲田大学古典籍総合データベース」という大学図書館運営のリソースにアクセスさせ、その上で「後三年絵巻」というタイトルの検索でデジタル公開に辿りつかせるものである。上記の数字だらけのアドレスの代わりに、読んで分かるようなリソース名とタイトルを提示し、読者に二回ほど検索をしてもらうものである。ただし、検索エンジンに掛けた結果と言えば、グーグル、ヤフーなら、
「古典籍総合データベース - Waseda University Library - 早稲田大学」
bingでは
「古典籍総合データベース - Waseda University Library」
という条目があがってくる。そのため、大学リソース名に「古典籍総合データベース - Waseda University Library」ということを指示してもよさそうだが、それぐらいの判断は読者に任せて、その代わりに読みやすい、分かりやすい、という意味で日本語と英語の混在や半角スペースなど省いたほうが望ましいのではないかと判断した。

このスタイルでは、検索エンジンやその表記の方法、リソースの題名が固定して変化しない、しかも読者はある程度表記の揺れに対応できる、という二点を前提とする。いうまでもなく、この二点とも、紙媒体に印刷されたリソースならまずは現われてこない問題であり、これまでの表記の規範からすれば、ちょっぴり外れたものだ。電子媒体だからこそ必要とされるものであり、はたして効果的かどうか、ささやかな提言をし、その結果を期待したいものである。

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