今週は、教室の使い方についての説明会に二つも出た。新学期の始まりにあわせて、新しいIT教室が出来上がった。これまで十五年も近く使い続けてきた、当時はかなり評判だった部屋を全面的に作り変えたものである。隣のスペースまで使えることもあって、部屋が広くなり、かなりの予算がつぎ込まれ、最新の技術が結集された現代風の空間の出現である。
教室の全体構成はこうである。最大36人のクラスのために六つのテーブルを用意し、それぞれにはテレビサイズのタッチスクリーンと独立したパソコン、それにキーボード、マウス、マイクなどのスタンダードな入力装置を備える。両側の壁には投影スクリーンと大画面テレビを据え付け、残りの壁には白板代わりのガラス板を張り巡らす。これらの器具の起動にコントロールボートを用い、パソコン同士の連結は専用のソフトに頼る。言い換えれば、いわゆる現在の技術というのは、大きいサイズのタッチスクリーンと、複数のパソコンを繋げる専用ソフトである。パソコン同士の交信はあくまでもインターネットの規格に基準し、したがって独立したテーブルは教室の壁に限られるものではなく、汎用のソフトを用いて簡単に果てしないところまで伸びていく。
教室の中に座って、ついついこれまでの二十年の道のりを想起した。技術的な進歩といえば、テープからデジタルということにつきるが、これにあわせて、昔の「LLラボ」がいまの「IT教室」になった。言語専用のものから総合の教室になり、教師と学生個人との会話からグループ活動がメインとなる。自明のことに、グループ活動の教室では、教師一人でしゃべるだけのスタイルは、すでに通用しなくなった。新しい教室の登場は、教師への新たな期待と要求をかなり具体的な形で提示しているものである。
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