古典の作品を手元に蔵め、気が向くままにそれを開いてみる。オリジナルものでなければならないという拘らないさえ捨てていれば、個人の蔵書という形で研究をやっている者なら誰もが真剣に取り込んでいると言えよう。一方では、古典作品の電子公開に伴い、在来の印刷物ではなく、電子画像を対象とするものなら、まったく次元の違う集合が可能になってきた。
現在に進めている「後三年合戦絵詞」をめぐる研究にあわせて、とりあえず一つの実践例を試みることにして、この絵巻にまつわる摸写本情報をまとめてみた。絵巻や摸写の基本書誌なら、これまで丁寧に集められている。しかし権威がある分、時間が過ぎたものであり、それを補うための公の研究機関による電子データベースでさえ、十分な更新が行われていない。一方では、公私の機関に所蔵され、あるいは新たに購入されたものはつぎつぎと公表、公開された。特定の作品について、既存の基本書誌、新出のタイトル、それに公開されたもののリンク、この三つの情報をまとめておけば、鑑賞や研究にそれなりに役立つものではないかと思い至った。有意義なものとして、名づけて「絵巻摸写コレクション」というささやかなセクションをこのブログの右下に添えた。
「コレクション」という名にふさわしく、内容はすべてを反映している自信がなく、あくまでも一人の調査範囲に止まる。だが、電子の形態だから、世の中に向かって開放し、関心から人と共有し、有意義な情報提供さえ密かに期待している。しかも随時に更新可能だから、怠らうに手入れを続けたい。
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