学生たちを連れての東京滞在は、ささやかな観光をもって最初の一日を過ごした。勉強熱心な若者を相手に、毎年すこしずつ日程に手を加えたりして、今年は初めて神社参りを取り入れた。明治神宮を参詣した。参宮橋から入ったので、ゆっくりと正門に回る予定だったが、神殿の中庭において結婚式が執り行われ、新郎新婦を取り囲んだ行列が庭を練り歩く姿を目撃すると、みんなでわっと庭に走りこみ、一斉にシャッターを押しまくった。
婚式の行列はじつに立派なものだった。艶やかな一行を演出したのは、巨大な日傘。新緑をバックにした真っ赤な色は、まさにめでたい。それに照らされて、新郎の黒い袴、新婦の白無垢、それに赤と白を上下に着飾った二人の先導の巫女、まさに絵になる。よくよく見れば、新郎はなんと長身の白人だ。行列の中にも、同じく西洋人男性の姿が目立つ。なぜか身の回りの学生たちの身分と呼応して、妙な和洋折衷の一瞬を絵に描いたように感じ取った。現代の生活では、神社での結婚式は、かなり人々の意識に浸透したものであり、かつさまざまな形をもって、結婚式そのものを参拝客の目に触れるところで繰り広げ、神社風景の一つに定着したものである。悠長な儀式にせよ、あるいは短い行列にせよ、他の参拝客から驚嘆や羨慕の視線を集めることが式の要となる。そのような視線の中に、日本にやってきた初日の若者たちも入っていることは、なんとも素晴らしい。
学生たちの元気に押されて、あの清正の井戸まで立ち寄った。神聖なパワーを一身に浴びて、これからの集中した勉強をしっかりと迎えてもらいたい。
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