2015年6月20日土曜日

学会ポスター

カナダの大学の行政年度は、7月から始まる。年度末に差し掛かるいまごろの大事な仕事は、年度ごとの活動報告。数年まえから二年一度という形に変わり、その分、対象とする内容が多くなった。その中の基本作業は、研究活動や成果について、日時などの詳細な記録と、それを裏付ける資料の提出だ。あれこれとまとめている間に、日本ならではの資料といえば、いわゆる「学会ポスター」だと気づいた。北米なら公式サイトの記録を引っ張り出したら十分だが、日本では、大きな印刷物と結晶される。そして、個人的に関連するものとなれば、主催者から複数も郵送されてくる。

20150620大きな文字で、大量の情報をすこしでも多く記入しようとするパスターは、まさにささやかな日本的な風景だ。日本の研究機関や大学教授の研究室に入って見れば、そのようなポスターはいつでも所狭しと貼りだされている。試しにインターネットで学会ポスターと入力して検索してみれば、出てきたのは、なぜか制作に関連する情報ばかりだった。使用するフォントやら、デザインのテンプレットやら、そして印刷のコストや対応スピードのアピールなど、裏方立場の気配が圧倒されるほど溢れている。至るところで日常的に作り出され続けていることは、ここでもしっかりと伝わっている。

いつのことやら、とある友人の自宅で、その方が関わったポスターが多数集められて、客間の壁に貼られたのを見て、不思議な新鮮さを覚たものだった。一方では、研究活動の基本情報や発表の場など、とても大事なことが記録内容としていながらも、普段はあくまでも消耗品として取り扱われる。そのため、いざとなれば、数年前のものはなかなか見つからない。デジタルの形で漏れなく集めるデーターベースが、ぜひとも必要だ。個人の力ではとても適わず、研究所とか公的な機関が動いてくれることを、ただただ待ち望んでいる。

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