2018年1月27日土曜日

二つのビデオサイト

先週、二つほどの特設サイトを公開した。一つは「カナダ日本語ビデオコンテスト」、もう一つは「Old Japan Redux」である。ともに学生たちのビデオ作品を集めたものである。前者は、カナダの七つの大学からの教師が力をあわせて企画し、実施したものであり、後者は日本歴史の授業を受講する100人近い学生たちの宿題から選んだ優秀作品集である。

二つのサイトは、学生たちにビデオ作品を発表する場を与えるということで共通している。発表と言えば、実はこのようなサイトを企画・作成するにあたり、もうすこし一歩進んだ考えを個人的に持っている。今の技術では、ビデオ作品など作ってしまえば、誰でもさほど苦労せずにそれを広く世の中に送り出すことができる。しかしながら、作者本人の手で公開することは、簡単なだけに、作品を第三者の目で選択、判断するプロセスが存在せず、そして本人がさらに手入れをしたり、ひいてはなんらかの事情で作品そのものを取り下げたりすることはつねの可能であり、視聴者の立場からすれば、一種の不安が伴い、安心して利用することはできない。在来の出版に準えて考えてみれば、対象のものを選び、さらに一つの完成形を持たせてこれ以上内容を変えないという二つの側面は、個人による公開では手に入れることができなくて、第三者の立場から行って初めて可能になったものである。

一方では、伝統的な出版にそって考えるならば、編集、すなわち作品をよりよくするためにさらに修正したりして改善させる作業は、今の二つのサイトには取り入れていない。言い換えれば、良い作品を選び、それを薦めることは、現時点の到達であり、それをさらに向上させる方途は、今のところまだ見出していない。

カナダ日本語ビデオコンテスト
Old Japan Redux

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