いまや漠然としたテーマを思いついたら、インターネットでとにかくサーチを掛けてみるというのが、だんだん形をもつ愉しみとなった。さほど期待していなくても、そこにはほぼ確実に意外な発見が用意されており、ここまで情報が纏められているものかと、つねに驚きと喜びを伴う感慨を覚える。
サーチするには、あれこれとやり方やコツがある。手始めにその入り口として大半の人はグーグルを使うのではなかろうか。例えば、「酒呑童子」という言葉を入れてみる。現在のところ、10万以上のヒットが戻ってくる。これでは使いものにならない。つぎはあれこれと試行錯誤の連続だ。「酒呑童子 -酒造」といったように、まずは関係のない酒工場を除いたら9万点となる。あるいは「酒呑童子 公開」、「酒呑童子 画像」といったように制限を加えてみれば、ヒットは1万台となる。いうまでもなくこのようなサーチでは常に大事な情報を見落とす危険がある。どこかの酒メーカーが文化事業として貴重な画像を公開している可能性もあれば、古典画像を思いもよらない斬新なタイトルで披露する機関も想像できる。いわば、検索とはあくまでも情報を拾うための試みであり、これで関係するものをモーラできるとは思わないことが基本だろう。
このような作業では、関係する情報を丁寧に集めてくれた人の成果を敏感に捉え、それを反芻することが大事だ。これだけ情報発信が発達してしまえば、情報に溺れやすいという危惧が共有され、その分、上手に泳ぎ渡り、その経験を提供してくれる人がどの分野においてもいる。それらの成果をまず十分に吸収しなければならない。御伽草子画像公開の情報については、とりわけつぎの二つのサイトを紹介したい。一方では、いくら丁寧に集められたものでも、すべてをモーラすることを目標としない、あるいはいろいろや制約で出来ないでいる。例えば、同じ性格の豊富な画像資料を早くから公開している東京国立博物館のデータベースは上記の両方とも触れていない。
電子メディアのことをめぐり四回連続して書いてみた。これを考えさせてくれた木曜日の一回だけの講義も無事終了した。そのクラスは、終了してから聴講した学生が全員その場で一枚のレポートを提出することになっている。寄せられた丁寧なレポートを読むのは、講義した人の愉しみだった。学生諸君に感謝すると同時に、とりわけ古典を志向する人とインターネットとの距離、さらに言えば、電子情報への期待感、信頼感の低さが分かって、わたしにはむしろいささか意外だったことを記しておこう。
リンク集デジタル奈良絵本(藤原重雄氏)
和書画像の公開者と画像の所在(内田氏)
東京国立博物館・カラーフィルム検索
ACADEMIC RESOURCE GUIDE (ARG) - ブログ版
(岡本真氏が文科系研究者のためのリソースを
リアルタイムにレポートする。)
2007年12月22日土曜日
検索の愉しみ
Labels: マルチメディア
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