2007年10月30日火曜日

展覧会カタログ

神田で開催されている古本まつりに行ってきた。古書即売展、青空掘り出し市、オークション。学生時代は京都百万遍寺で経験していた年に一度のあのわくわくした記憶は、すべてそっくりそのまま目の前に展開されていて、なんとも懐かしい。そして、古本を捜し求める人々がたいてい目をくれないところに、展覧会カタログは、所在なさそうにまとめて置かれている。

そもそも展覧会カタログは、出版物の中での特殊なジャンルと言わなければならない。作品を写真に納め、解説を要領よく施し、時には思いも着かないようなテーマを提示してくれる。それに加えて、想像に思い描いていた幻の名作が一度は公の場に出されたとのことで、なんとなく親近感を持たせられる。ただし、あくまでも展示会に付随するもので、ある種の特典との色合いがあって、ふつう特定の場所でしか販売されていない。どうしても出られない展覧会など、友人に頼んだカタログだけを手に入れたとの経験は、おそらく多くの人々に共有されているだろう。

展覧会の数だけカタログがある。したがってそれを個人の力ではとてもカバーできるものではない。それどころか、図書館の蒐集でさえ限界があって、必要なものを捜し求めるには、いつも戸惑いが伴う。その分、かつて十年、数十年おきにカタログそのものの目録が作成されていた。幸いここにも電子の恩恵が及び、オンラインで検索できるデータベースはいくつも構築されて、一昔とは環境が大きく変わった。

さらに一つ付け加えるとなれば、最近の展覧会カタログは、プレゼンを工夫するという傾向が顕著になった。そのおかげで、カタログにはつき物の「おとなしい」というイメージは、段々当てはまらなくなり、カタログのページをめくる楽しみがますます増えた。

つぎに行く展覧会は、サントリー美術館の「鳥獣戯画がやってきた!」だ。絵巻好きの人にはまるで夢のようなものである。はたしてどのようなカタログに出会えるのだろうか。

展覧会カタログ検索
東京文化財研究所:今現在、2006年8月31日までの近現代および古美術関係の展覧会カタログ22,762件が対象
調べ方案内
国立国会図書館:展覧会・展示会カタログ

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